円形脱毛症は、性別や年齢に関係なく、誰にでも発症する可能性があります。
この病状の特徴は、突然現れるコインのような円形または楕円形の脱毛です。
近年、女性における円形脱毛症の発生が増加しており、多くの女性がこの症状に悩まされています。
この症状は、外見に与える影響だけでなく、精神的なストレスも大きく感じられることがあります。
今回は、女性の円形脱毛症の原因や発症のメカニズム、関連する要因、さらに予防策や対処法について詳しく解説いたします。
女性の円形脱毛症と自己免疫やアレルギーの問題
免疫細胞が正常な体細胞を攻撃する病態で、円形脱毛症の場合は免疫細胞が毛根を攻撃することで脱毛が引き起こされます。
円形脱毛症の最大の原因は、自己免疫の異常によるものが多いです。
さらに、原因の一つとしてアトピー素因も無視できません。
リンパ球による攻撃
自己免疫疾患の発症には、Tリンパ球やBリンパ球などの免疫細胞が大きく関与しています。
これらのリンパ球が、なぜ毛根を異物と見なし攻撃するのか。明確にはわかっていませんが、原因の一つとして遺伝的要因が指摘されています。
一部の研究では、円形脱毛症患者に共通する特定の遺伝子変異が見つかっております。この遺伝子変異がリンパ球の異常な反応を引き起こす可能性があるとされています。そして、遺伝的素因は、男女同様に円形脱毛症の発症リスクを高める要因です。
自己免疫疾患との合併
円形脱毛症は、自己免疫疾患の一種と考えられています。
実際、多くの方が、他の自己免疫疾患を併発していることが報告されています。特に女性の円形脱毛症では、甲状腺疾患や膠原病、糖尿病などの合併率が高いことが知られています。
このような自己免疫疾患があると、体内で異常な免疫反応が起きやすくなるでしょう。そして、円形脱毛症が発症しやすくなります。また、家族内に同様の病気を患っている人がいる場合は、遺伝的素因に注意が必要です。
400種!充実の検査項目【遺伝子検査キット チャットジーン】まれに甲状腺の病気など、他の自己免疫疾患により発症しているケースもあります。円形脱毛のほか、疲れや微熱などの症状も現れやすい場合は、医師に相談しましょう。
アレルギーとアトピー素因
アレルギー疾患と円形脱毛症は深い関係があるとされています。
特に女性では、アトピー素因を持つ人が多く、円形脱毛症を発症しやすい傾向があります。アトピー性皮膚炎は、過剰な炎症や免疫の異常が皮膚に影響を与える病気で、これが円形脱毛症のリスクを高める可能性があります。免疫系が刺激されることで、円形脱毛症が引き起こされることも考えられます。
最近の研究では、真菌やハウスダストなどのアレルゲンが円形脱毛症に関与している可能性が示されています。アレルギー反応が免疫異常を引き起こし、それが自己免疫のメカニズムに関わって脱毛を引き起こすことが考えられます。
また、アトピー体質は遺伝的な要因も影響しているため、家族にアレルギーのある人は注意が必要です。
ホルモンの変動と女性における円形脱毛症
円形脱毛症の原因として、女性特有のホルモンバランスの変化が挙げられます。
女性はライフステージによって大きくホルモンバランスが変動します。それが円形脱毛症の発症につながることがあります。
円形脱毛症と女性ホルモン
女性ホルモンの中でも特にエストロゲンとプロゲステロンが円形脱毛症に影響を与える可能性が指摘されています。
これらのホルモンは、髪の成長を調節する役割を果たしており、ホルモンバランスの乱れが円形脱毛症の発症や進行に関連している可能性があります。また、ストレスなどの精神的要因がホルモンバランスに影響を及ぼし、円形脱毛症を誘発する可能性も考えられます。女性ホルモンと円形脱毛症の関係については、今後の研究によりより詳細な理解が進むことが期待されます。
出産後のホルモン変化
妊娠中は女性ホルモンが活発に分泌されます。しかし、出産後はその分泌量が急激に減少します。このようなホルモンバランスの大きな変化が、女性特有の円形脱毛症の引き金となり得ます。実際に、「産後脱毛症」や「分娩後脱毛症」という症状が多く報告されています。
出産後は生活リズムの変化や育児ストレスもあり、脱毛のリスクがより高まります。産後は十分な休息を取り、ストレス対策を行うことが重要です。また、ホルモンバランスを整えるための栄養素を摂取することも効果的でしょう。
女性の円形脱毛症の場合は、生理前やPMS(月経前症候群)の時期に影響を受けやすくなります。ホルモンバランスの変化により、心身のストレスが高まるためです。こうした時期は特に注意が必要です。
わたしの娘は産後脱毛症で頭髪の半分が抜けてしまいましたよ。
更年期のホルモン変化
更年期障害では、不規則な生理や肌のトラブル、ホットフラッシュなどがよく知られています。しかし、脱毛症もよく見られる症状の一つです。
この時期は卵巣の機能が低下し、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少します。このホルモンの変化が、特に女性に多い円形脱毛症を引き起こすことがあります。
40代後半から50代の女性に円形脱毛症が多く見られるのは、このためです。円形脱毛症は、個々の症状や原因に応じた総合的なアプローチが求められますので、適切に対処することが大切です。
女性の円形脱毛症とストレスの関係
円形脱毛症の原因としてストレスも無視できません。ストレスは自己免疫の異常を引き起こす要因の一つとされています。特に女性はストレスに対する感受性が高いため、女性の円形脱毛症に大きく影響すると考えられています。
交感神経の亢進
交感神経の活性化と円形脱毛症の関連についての研究では、ストレスや神経系の不調が円形脱毛症の発症や進行に影響を及ぼす可能性があることが示されています。特に、交感神経が優位になると血流が悪化し、これが頭皮への栄養供給を妨げるため、円形脱毛症が起こりやすくなるのです。
さらに、交感神経は体のストレス反応を調整する役割を果たしていますが、過剰に刺激されると毛包に悪影響を及ぼすことがあります。これが円形脱毛症の症状を引き起こす要因となることも考えられます。
ただし、円形脱毛症の原因は多様であり、個人によって異なるため、すべてのケースにこの関係が当てはまるわけではありません。
長時間のストレス
精神的ストレスや長期間のストレスは、免疫機能の低下も引き起こします。円形脱毛症は、免疫系が正常な毛母細胞を攻撃し、脱毛を引き起こす自己免疫性の疾患です。そのため、ストレスが免疫系の乱れを招き、円形脱毛症を引き起こす可能性があると考えられます。そして、出産や転勤などは女性にとって大きなストレス要因になります。
ストレスへの対処方法として、家族の協力を得ること、専門のサポートを利用すること、十分な休息を取ることなどが重要です。女性はストレスをためすぎないよう気をつけましょう。
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睡眠不足や生活リズム
睡眠不足はストレスやホルモンの不均衡を引き起こし、これが円形脱毛症の発症や進行に影響を与えることがあります。質の良い睡眠を確保することは、健康な髪の成長にとって非常に重要です。
また、生活リズムの乱れも円形脱毛症に影響を及ぼす要因の一つと考えられています。規則正しい生活を心がけることで、自律神経のバランスを整え、円形脱毛症の改善に寄与する可能性があります。
十分な睡眠をとり、ストレスを軽減し、栄養バランスの取れた食事を心がけることが、円形脱毛症の症状を和らげる手助けになるかもしれません。
関連記事:不眠の悩み?40代以上の女性へ!眠れない症状と原因・改善と対策
生活リズムの乱れや睡眠不足は、円形脱毛症を引き起こす要因となることがあります。
十分な睡眠をとり、ストレスを軽減することで、自律神経のバランスを保つことが大切です。
適切なケアで女性の円形脱毛症対策
円形脱毛症に対する正しい理解と適切なケアが、症状の改善や進行の抑制につながることが期待できます。
女性の円形脱毛症に対して効果が期待できるセルフケアの方法をいくつかご紹介します。ぜひ、これらのケアを試してみてください。
円形脱毛後の女性向け育毛剤
女性の円形脱毛症には、特に女性向けの薬用育毛剤をおすすめします。ただし、市販の薄毛用育毛剤には刺激成分が含まれていることがあり、頭皮に炎症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
おすすめの製品は、円形脱毛後の育毛に特化した「トリコチロアール」です。この育毛剤には、99.6%が天然由来の保湿成分であるトリコチロアールが含まれています。さらに、抜毛症や円形脱毛症による頭皮ケアのために開発されたもので、有効成分としてグリチルリチン酸ジカリウムやセンブリエキスが配合されており、高い効果が期待できます。
トリコチロアールには、天然アロマオイルのユーカリも含まれています。その香りが円形脱毛症でストレスを感じている心をリラックスさせる効果もあります。
円形脱毛向けのシャンプー
アレルギー体質の方は、薬物療法に加えてアレルゲンを取り除く環境対策が重要です。刺激の強いシャンプーなどは避け、頭皮を清潔に保つことが大切です。
おすすめは、ノンシリコンなのにキシまない無添加のアミノ酸シャンプーです。 アミノ酸系のシャンプーは、洗浄力が穏やかなのが特徴です。そして、頭皮のうるおいを守りつつ、洗い上がりはすっきりとしています。また、髪や頭皮への負担を減らすには、香料や着色料、防腐剤といった添加物も避けた方がいいでしょう。
YUMEJINは、低刺激のアミノ酸洗浄成分とスキンケア成分として優れたハイビスカスエキスが配合されています。頭皮を優しくケアし、 ハリとコシのある健康な髪の育つ理想的な頭皮環境へと導きます。
シャンプーで円形脱毛症を治すことはできません。しかし、頭皮を清潔に保つことの方が髪の成長にいい影響を与えるでしょう。そのため、女性の円形脱毛症には適切なシャンプーで頭皮環境を整えることが大切です。
円形脱毛症に血行の改善
血行を改善することで円形脱毛症の症状を軽減することが可能です。
まず、頭皮の血行を改善することも円形脱毛症の対策になります。頭皮の血流が良くなることで、脱毛症の症状が軽減されるでしょう。また、頭皮マッサージや温冷療法も血行を促進し、頭皮の健康を保つのに役立ちます。 これらの血行改善の方法を続けていくことで、円形脱毛症の改善が期待できるでしょう。
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女性の円形脱毛症を予防しよう
円形脱毛症は自己免疫疾患の一つであり、予防方法は特定の方法できるものではありません。しかし、いくつかの予防策が知られています。
円形脱毛症は、女性にとって心身の健康に大きな影響を与える可能性があります。そのため、予防は非常に重要です。
ストレスの管理
円形脱毛症はストレスが誘因となることがあるため、ストレスを軽減することが予防につながります。
ストレスを軽減するためには、適切な睡眠、適度な運動、リラクゼーション法などを取り入れることが有効です。また、定期的なストレスチェックを行い、ストレスの原因を特定することも重要です。ストレスが蓄積されると自律神経の乱れやホルモンバランスの乱れなどが円形脱毛症を悪化させる可能性があるため、早めに対処することが必要です。
円形脱毛症が進行している場合でも、適切な治療と並行してストレス管理を行うことで症状の緩和につながることもあります。円形脱毛症に悩む女性の方々が健康的で穏やかな生活を送るためには、日常的なストレス管理が欠かせません。
関連記事:女性のメンタルヘルスを優しく守る・AIメンタルパートナーアプリ
心理的なストレスや緊張を和らげるためには、AIメンタルアプリがおすすめです。他にもカウンセリングや心理療法を受けることも一考えです。
生活習慣の改善
生活習慣を改善することで円形脱毛症の症状を軽減することが可能です。まず、健康的な生活習慣を心掛けることが重要です。さらに、タバコや過度のアルコール摂取を控えることも円形脱毛症の改善に役立ちます。
さらに、適度な運動はストレス軽減につながるだけでなく、健康的な身体を維持するためにも重要です。良質な睡眠は免疫力を高め、円形脱毛症のリスクを軽減することができます。円形脱毛症の予防には個々のライフスタイルや習慣を見直し、健康を保つことが重要です。
バランスの取れた食事
食事面では、バランスの取れた食事を心掛けることが重要です。特に鉄分や亜鉛、ビタミンDなどの栄養素を適切に摂取することが円形脱毛症の対策に効果的です。鉄分は赤身の肉やレンズ豆、ほうれん草などから摂取できます。亜鉛は海老や牡蠣、種実類に多く含まれています。ビタミンDは日光浴や青魚、キノコなどから摂取できます。
また、過度なダイエットや栄養不足は円形脱毛症のリスクを高めることがあるため、健康的な食生活を心がけることが重要です。しかし、バランスの取れた食事が難しい場合は、栄養補助食品の摂取も大切です。
円形脱毛症の飲み薬
皮膚科学会のガイドラインによると、円形脱毛症が単発型または少数単発型は、1年以内に80%が治ったというデータがあります。それでは、円形脱毛症に対して病院ではどのような飲み薬治療を行うのでしょうか。
抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン薬)
花粉症などのアレルギー症状を緩和する治療薬です。
アトピー素因。(アトピー性疾患・アトピー性皮膚炎・気管支炎・アレルギー性鼻炎のいずれか)を持った単発型。および多発型の患者に、脱毛範囲の縮小が認められています。
セファランチン
アレルギー反応を抑制する作用や、血流を促進する作用などがある治療薬です。
脱毛斑の縮小の根拠は薄いとされています。しかし、国内での診療実績も多いため、単発型および多発型の治療において、他の治療と共に併用されます。副作用として、胃の不快感や食欲不振などが発生することがあります。
グリチルリチン、メチオニン、グリシン複合薬
グリチロン®という薬は、炎症やアレルギーを抑える作用があります。
科学的な検証は不十分ではあるものの、国内で多くの診療実績があります。そのため、単発型および多発型の治療で使用されています。主な副作用として、血圧上昇や腹痛などが報告されています。
ステロイド内服
炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドの飲み薬です。
高い効果が実証されている反面、子どもへの使用は行なっておりません。また、ステロイドを飲むことをやめた後に、高い確率で脱毛が再発する危険性があります。そのため、脱毛が広範囲に広がった成人の患者のみに用いられる飲み薬です。しかし、副作用として、肥満、糖尿病、生理不順、消化器不全などを発症する場合があります。
女性の円形脱毛症へ塗り薬や治験
円形脱毛症で使用される塗り薬は、主に炎症を抑えるための薬です。炎症を抑える外用薬ステロイド、塩化カルプロニウムなどを患部へ塗布します。内服薬と同様に、軽い症状にとられる治療法です。
ステロイド外用
- ステロイド外用薬は炎症を抑え、免疫機能を調整することで髪の抜けを防ぎます。
- 皮膚科で最初に処方されることが多く、症状が重い場合は他の治療と併用されます。
塩化カルプロニウム外用
- フロジン液は血管拡張効果があり、頭皮の血流量を増やすことで発毛効果を高めます。
- ストレス性の円形脱毛症に適しています。
ミノキシジル外用薬
- ミノキシジルは発毛効果があり、髪に栄養を供給するための血管を拡げます。
- ストレスが原因と考えられる方に処方されることが多いです。
病院では、前述した薬の処方のほか、注射などによる治療も行われます。ステロイド局所注射進行型の円形脱毛症にとられる治療法です。ただし、痛みをともなうことと注射をした部分にしか毛が生えないというデメリットがあります。また、注射部分がへこむという副作用が起こることもあります。
まとめ
女性の円形脱毛症には、様々な原因が複雑に関与していることが分かりました。
自己免疫の異常、ホルモンバランスの変化、ストレス、アトピー素因といった要因が、単独または合わさって発症のリスクを高めています。
円形脱毛症は自然治癒する場合もありますが、一方で再発や悪化のリスクもあります。そのため、早期発見と専門医への相談が大切です。
また、ストレス対策、食事療法、適度な運動などの生活習慣の改善で、症状の予防や改善が期待できます。
女性は特に注意が必要な症状なので、自分に合った対策を見つけていきましょう。