更年期にはさまざまな変化や症状が現れ、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
また、さまざまな症状を少しでも軽減させたいと感じる女性も多いでしょう。そんな更年期の悩みを効果的に軽減する方法として注目されているのが、漢方薬です。
漢方薬は、体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで更年期の悩みを和らげる効果が期待されています。
本記事では、更年期における悩みや症状の特徴、快適に過ごすための漢方薬の効果や適切な摂取方法についてご紹介します。
更年期の悩みと症状の特徴
女性が、更年期の悩みを迎える際に起こる身体的および心理的な症状の特徴です。
更年期における身体的な変化
更年期は、女性において生理周期の終了を意味します。この過程で体の変化やさまざまな症状が現れることがあるでしょう。一般的には、更年期の悩みには以下のような特徴が見られます。
まず、ホルモンバランスの変化により、生理的な変化が起こります。ホルモンの分泌が不規則になり、月経周期の変化が現れます。これに伴い、のぼせ感や夜間の多汗症などの症状が現れることがあるでしょう。
また、身体的な変化として、皮膚の乾燥やシワ、髪のボリュームの減少、髪質の変化などが挙げられます。
その他にも、関節痛や頭痛、蕁麻疹などの身体的な症状も報告されております。さらには、体重の増加や代謝の低下、筋力の低下などの変化が起こりやすくなることもあります。
しかし、これらの体的な変化は、個々の体質や状況によって異なります。
更年期に精神的な影響
更年期の悩みには、イライラ感、落ち着きのなさ、気分の落ち込みなどの精神的な症状が現れやすくなります。女性ホルモンの変動が自律神経系に影響を与え、感情のコントロールが難しくなるためです。
また、記憶力の低下や集中力の欠如も報告されています。更年期は、ストレスが多い時期でもあるため、精神的な負担が大きくなりがちです。それがさらなる症状の悪化につながる可能性があります。さらに、不安感や焦りなどの症状は生活の質に影響を及ぼし、日常生活にストレスをもたらすことがあります。
しかし、必ずしもすべての女性が同じように感じるわけではありません。
睡眠の質と性的な問題
更年期の時期には、頻尿や睡眠障害もよく見られます。睡眠の質が低下し、不眠症や過度の夜間の目覚めが起こることがあります。
また、性欲の低下や性交時の不快感、膣の乾燥などが、更年期の症状として現れることがあります。その悩みはさまざまで多岐にわたることがわかります。
これらの症状には個人差がありますが、更年期を迎える女性が抱える悩みの一部です。
厚生労働省の女性の健康推進室(ヘルスケアラボ)では、更年期の症状は100種類くらいあるとも言われています。
漢方薬の効果的な活用法
更年期の治療には、ホルモン補充療法(HRT)が行われています。しかし、さまざまな理由によりホルモン療法が無効な場合には、漢方薬が効果的でしょう。
私は、病気の関係でホルモン療法はできませんでした。
漢方薬がもたらす効果とは?
更年期の悩みに対して漢方薬は有効です。ホルモンバランスの乱れが関与していることが多いため、漢方薬で体の調和を取り戻し、症状を和らげる効果が期待されます。
また、体のバランスを整えることでさまざまな悩みを軽減しサポートします。さらに、根本的な原因にアプローチし、従来の西洋医学とは異なる視点からケアします。
具体的には、更年期症状の改善や睡眠の質の向上、ストレス軽減などに効果があります。また、副作用が少なく、自然な方法で体調を整えることができ、多くの方に支持されています。適切な漢方薬を選ぶことで、更年期の悩みを軽減できるでしょう。
しかし、漢方薬の効果は個人によって異なることもあるでしょう。
漢方薬の体への作用メカニズム
漢方薬は複数の生薬を組み合わせることで症状を和らげる作用があります。
その作用メカニズムは総合的で複数の視点から症状を改善することを特徴としています。エネルギーのバランスを整える「気」や体の物質代謝を調節する「血」「津液」などの概念に基づいて組み立てられています。
また、体の各部位や臓器へのアプローチも含まれており、根本原因に働きかけることができます。
例えば、更年期障害に対して漢方薬が用いられる際には、ホルモンバランスを整える作用、自律神経を安定させる作用、血流改善効果などが期待されます。これにより、更年期障害の症状を緩和し、調和を取り戻すことができるとされています。
しかし、漢方薬は総合的な改善を目指すため、個々の体質や悩みに合わせて選びましょう。
漢方薬の注意点
安全に服用するためには、以下のポイントに注意してください。
漢方薬は複数の生薬を組み合わせて作られているので、併用するのは避けましょう。生薬のバランスが崩れてしまう可能性があります。
また、漢方薬の副作用にも注意しましょう。代表的な症状には脱力感、胃もたれ、湿疹、かゆみ、むくみ、倦怠感、黄疸、下痢などがあります。さらに、一部の生薬はアレルギーを引き起こす可能性もあります。何らかの不調を感じた場合は、直ちに服用を中止し、医師に相談しましょう。
更年期に効果的な漢方薬
漢方薬は、ホルモン剤のように副作用が少ないというメリットがあります。しかし、その効果には個人差が大きいという欠点があります。そのため、症状に合わせて適切な漢方薬を選ぶことが大切です。
また、それぞれの更年期症状に合った効果があります。以下では、更年期の症状に効果的な三大婦人薬を紹介します。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
【第2類医薬品】クラシエ薬品 「クラシエ」漢方 加味逍遙散料 エキス 顆粒 (45包)加味逍遥散(かみしょうようさん)は、中間証タイプの更年期症状に適しています。
この漢方薬は、気分の不安定、イライラ感や冷え、更年期のめまいや耳鳴りなどに効果があります。
体質的に、のぼせ感や疲れやすくイライラしがちな方に効果があります。また、肩こり・不安・イライラ・不眠なども和らげます。
当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん)
【第2類医薬品】クラシエ薬品当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン) 180錠当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、虚証タイプの更年期症状に効果的です。
虚証とは、体力や精神的なバランスが乱れている状態を指します。この漢方薬は、虚弱感や動悸(どうき)、不眠、手足の冷えなどの症状に適しています。
体質的に、疲れやすく、冷え性の方に効果があります。体を温めて、足腰の冷え、めまい、むくみ、耳鳴りなども和らげます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
【第2類医薬品】「クラシエ」漢方桂枝茯苓丸料エキス錠 90錠桂枝茯苓丸(けいしふくりょうがん)は、中間証から実証タイプの更年期の悩みに適しています。
中間証とは、体調が安定しているが症状が現れ始めた状態を指します。一方、実証は症状が明確に現れている状態を指します。この漢方薬は、イライラ感や動悸(どうき)、不眠、ほてりなどの症状を緩和する効果があります。
体質的に、顔がのぼせて足が冷える方に効果があります。下腹部の痛みや違和感・肩こりなども和らげる効果があります。
上記の他にも更年期に効果的な漢方薬はたくさんあります。自身の体質や症状に合った漢方薬を選ぶことが重要です。漢方薬局や漢方医師とのフォローアップを受けることも効果的です。
適切な漢方薬の飲み方
体内に自然の恵みが染み渡るイメージで摂取しましょう。
漢方薬の服用方法
漢方薬は、更年期の悩みを軽減するために補助的な治療法として利用されています。一般的に症状の緩和や体調の調整を目的として使用されるため、適切に服用することが大切です。
漢方薬を服用する際には、以下のポイントに留意しましょう。
- お湯に溶かして服用することが推奨されています。
- お湯の温度は少し熱めの方が良いです。
- 量は50mlほどで構いませんので、ゆっくりと服用しましょう。
漢方薬は空腹時に服用することが推奨されています。食事や他の薬剤に影響されず、漢方本来の力を最大限に発揮できます。
また、漢方薬は徐々に体に効果を現すため、適切な期間服用することがポイントです。添付文書に従って、安全に漢方薬を服用しましょう。
「証」に基づく判断
漢方薬は、個々の症状や体質に合わせて適切な薬剤を選定することが重要です。
更年期障害の漢方治療では、体の状態に応じて証(しょう)を判断します。それに基づいて適切な漢方薬を処方することが一般的です。具体的には、体の熱感、寒さ、汗の有無、体のだるさ、不定愁訴などの症状や体調を総合的に判断して診断を行います。
例えば、更年期障害に対して、体が熱を持ちやすくイライラしやすい方には、内熱証に該当する可能性があります。このような場合には、体を清める作用のある漢方薬が処方されることがあります。
逆に、冷え性や憂鬱感が強い方には、陰虚証や寒証に該当する可能性があるでしょう。その場合には温補のある漢方薬が使用されます。
生活習慣との連携
漢方薬の効果や副作用は個人によって異なります。症状の変化や体調の変化に気をつけましょう。
また、漢方薬を活用する際には、生活習慣や食事などにも注意を払うことが重要です。バランスの取れた食事や運動、十分な睡眠など、健康的な生活を送ることで漢方薬の効果を最大限に引き出すことができます。
漢方薬は総合的なアプローチで更年期の悩みを軽減するための有効な手段であり、正しい使い方を心がけることが大切です。
まとめ
更年期における漢方薬は、身体的および心理的な症状の改善に効果的な選択肢です。
さまざまな漢方薬が更年期症状に対して効果があります。
漢方薬は医療機関で処方してもらうこともできます。
ただし、全ての医師が漢方薬の処方を行うわけではありません。場合によっては一般的な診療だけで済むこともあります。
また、複数の漢方薬を同時に服用しないことや副作用に注意することも重要です。
改善されない。心身にお悩みの方は、専門家のサポートで適切な治療を受けることをおすすめします。
よくある質問
Q1: 更年期障害の症状はどのようなものですか?
A1: 更年期障害の主な症状には、ホットフラッシュ。動悸、頻脈、発汗、イライラ、不安感、無気力、など様々な症状があります。
Q2: 漢方薬は更年期障害の治療に効果がありますか?
A2: はい、漢方薬は更年期障害の症状を和らげる効果が期待されます。複数の種類がありますが、「当帰芍薬散」や「加味逍遙散」などがよく使われています。
Q3: 漢方薬を選ぶ際のポイントはありますか?
A3: 漢方薬を選ぶ際には、自身の症状や体質に合った漢方薬を選ぶことが重要です。医師や薬剤師と相談し、適切な処方を受けることがおすすめです。
Q4: 漢方薬の安全な服用方法はありますか?
A4: 安全に服用するためには、複数の漢方薬を同時に服用しないこと。漢方薬の副作用に注意し正しい服用方法を守ることなどが重要です。